邦人援護

令和7年4月30日

~領事の仕事「できること」、「できないこと」~

在外公館の領事の役割には、様々なものがありますが、海外における日本人を援助・保護することは領事に課せられた重要な任務の一つです。


 

Mark020.gif (2224 バイト) 領事のできること

○事件・事故の被害に遭い、自助努力のみでは対応できず、且つ、緊急な対応を要する場合には、関係当局と連絡などを行う一方、親族に対して直接または外務省を通じて連絡をとり、事件・事故の概要を通報するとともに、現地における事件・事故に関する法律制度や手続きなどについて援助・助言します。

○死亡事件・事故の場合には、遺族に対し必要な援助を行うとともに、遺族の意向に従って遺体の日本への搬送手続きまたは適切な措置などについて援助・助言を行います。

○刑事被告人または被疑者などとして逮捕・拘禁されている日本人については、本人及び関係当局と緊密な連絡を保つとともに、必要に応じて親族、知人と直接または外務省を通じて連絡を行います。

万一逮捕・拘禁された場合には、現地警察当局などに対し日本の大使館または総領事館に連絡するよう要請することが重要です。

○自然災害、騒乱や大規模な事故が発生した場合には、領事は直ちに日本人の被害の有無の確認に努めます。万一皆様がこのような被害に遭遇した場合には、たとえ無事であってもできるだけ早く領事にその旨を直接連絡するか、または第三者を通じて連絡して下さい。確認された情報は、必要に応じて外務省を通じて親族または知人に通報されます。

○所持金を紛失し、自分ではどうしても連絡ができず、当面の生活がままならない場合で、かつ緊急止むを得ないと領事が判断した場合には、領事が直接または外務省を通じ親族や知人に航空券の手配や金銭的援助の依頼を連絡します。

○海外にいる日本人が、所在調査に関する親族の自助努力にもかかわらず、おおむね6ヶ月以上音信が途絶えている場合には、領事は親族の依頼に基づき、外務省の指示によりその所在確認のための調査を行います。

○送金方法にかかわる助言を行います。

○戸籍・国籍関係の諸届出を受理します。

○旅券の発給、在留証明など各種証明書を発給します。


 

Mark019.gif (2246 バイト) 領事のできないこと

×宿泊費、入院・治療費、航空切符代、その他の個人的費用を立て替えること、またその支払いを保証することはできません。

×旅行業者、航空会社、銀行、弁護士、探偵、警察または病院の役割を担うことはできません。

×警察への被害届提出の代行、米国行政機関に対する届出の代行はできません。

×犯罪の捜査や被疑者の身柄拘束、行方不明者の捜索はできません。

×逮捕・拘禁された場合の通訳または弁護士費用、保釈費用、訴訟費用の支払いを行い、またはその支払いを保証することはできません。

×私的争いの仲裁、訴訟への介入はできません。 

×通訳、翻訳はできません(ただし、通訳、翻訳者の情報を提供します)。

×遺失物の捜索はできません。

×入国許可、滞在許可や就労許可の取得を本人に代わりに行うことやその便宜を図ることはできません。例えば、「移民局(入国管理局)から入国を拒否されたので、入国が許可されるよう先方と掛け合って欲しい」との依頼にはお応えできません。
 

以上のように、在外公館の領事は、皆様が海外旅行中に万一不幸にして事件・事故に遭遇された際に出来得る最大限の援助を行っております。

もちろん、これら事件・事故の処理に当たっては、まず皆様の自助努力が行われることが最も重要です。しかしこの自助努力が及ばない問題に対しては、領事としてその解決にできるだけの援助を行います。

その場合でも、領事の任務は国際法や当該国の法律などの範囲内で行わざるを得ないため、自ら限界があることをご了承下さい。