1.ビザ申請に伴う面接の対象の拡大と生体情報収集の開始
<措置概要>
◎2004年7月1日から、「外交(A)ビザ又は国際機関(G)ビザの申請者」及び「80歳以上又は13歳以下の申請者」を除くすべてのビザ申請者には、面接が義務づけられました。
◎新たに面接が必要になるのは、専門職(H-1b)及び企業内転勤(L)ビザ申請者、日本又は米国籍航空機の乗務員(D)ビザ申請者、ビザ更新希望者、14歳〜16歳及び60歳〜79歳の申請者です。
◎また、ビザ申請時に面接が必要な申請者に対しては、併せて指紋情報の読み取りと顔写真の撮影が開始されています。
(1)背景
(ア)面接対象の拡大:2003年8月1日以降、一部を除くすべての米国ビザ申請者は、米国大使館(東京)又は総領事館(大阪、那覇)において面接を義務づけられています。今回の措置は、この面接義務づけの対象をさらに拡大するものです。
(イ)ビザ申請者からの生体情報読み取り:米国国内法は、2004年10月26日以降に発給される米国ビザは生体情報を搭載しなければならないと規定しています。これに従って、在日米国公館(大使館、総領事館)においても、生体情報読み取り機器が設置され、読み取り措置が開始されています。
(2)面接及び生体情報読み取り措置の内容
(ア)ビザ申請者は、申請書類提出時に、在日米国公館の領事担当官により、本人確認や米国渡航目的等に関する面接を受けます。併せて、その際、申請者は、(@)両手の人差し指の指紋をスキャナーで電子的に読み取られ(インクは使用しない)、また、(A)顔写真を撮影されることになります(米国政府の説明によれば、この読み取りの所要時間は申請者1人につき30秒程度とのことです)。
(イ)ビザ申請者の生体情報は、米国のデータベースに保管され、米国入国時の本人確認に使用される予定です。日本政府より、これらの個人情報の厳格な管理をたび重ねて求めてきたのに対し、米国政府は、これらの情報は「法律により機密扱いとされ、法執行機関(警察等)によるアクセス要求には厳しい法的規制が適用される」としています。
(ウ)なお、日本に所在する米国の在外公館は、2004年2月より、インターネットでの面接予約システムを提供しています。このシステム上で予約すれば、ビザ申請者は、その居住地域を問わず、東京(大使館)又は大阪(総領事館)のいずれか希望する方で面接を受けることができます。また、併せて、以前は徴収していた面接予約手数料(以前は1,050円)が無料になりました。?
2.米国内におけるビザ更新手続中止
<措置概要>
◎ 2004年7月16日から、これまで行われていた「米国国務省へのパスポート郵送によるビザ更新手続」が中止されました。この結果、ビザ更新希望者は、いずれかの形で一旦米国外に出て更新手続をとらなければならなくなりました。
(1)背景
(ア)米国政府は、すでに2002年9月1日に、在京米国大使館へのパスポート郵送によるビザ更新手続制度を中止しました。その結果、在米邦人がビザを更新する手続としては、国務省にパスポートを郵送するか、米国在外公館に出向いて更新するかのいずれかとなっていました。
(イ)しかしながら、上記1.のとおり、ビザ更新申請者も面接及び生体情報読み取りを義務づけることになりました。米国政府は、米国国内での面接及び生体情報読み取りは困難としており、その結果、ビザ更新申請者はいったん米国を出国し、米国在外公館で手続(面接と生体情報読み取りを含む)を行わなければならなくなりました。
(2)今回国務省での更新ができなくなるビザ
通過(C)、商用(E)、一般労働者(H)、報道関係者(I)、企業内転勤(L)、専門家(O)、文化・芸能専門家(P)
(3)今後のビザ更新手続き
現在米国に滞在中であり、今後ビザ更新を希望される方については、米国政府は、(a)大前提としていったん日本に帰国して日本に所在する米国在外公館で申請するか、その代替として(b)米本土の隣国(カナダ又はメキシコ)に赴いて隣国所在の米国在外公館において申請する、との選択肢を示しています(米国政府によれば、これら隣国公館もインターネットによる面接予約システムを導入済みとのことです)。ただし、米国政府は、すべての申請者がそれぞれの母国にいったん帰国した上で更新を申請することを推奨しています。???????
3.機械読取式でない旅券(非MRP)での入国には査証が必要
(1)2004年10月26日以降、短期の観光・商用目的で米国に入国する日本人は、「機械読取式旅券」(MRP:Machine Readable Passport)を所持している場合には、滞在期間90日間の査証免除が適用されますが、「機械読取式でない旅券」(非MRP)を所持している場合には、事前に米国の大使館や総領事館で査証を取得する必要があります。
(2) 但し、グアムにおいては、「機械読取式でない旅券」(非MRP)であっても、「グアム査証免除プログラム」(要件:滞在期間15日以内、観光・商用目的、グアムのみの滞在で米国の他の地域に渡航しないこと、往復又は次の目的地までの航空券所持)が適用される場合には、引き続き査証が免除されます。
(3)「機械読取式旅券」(MRP)への切替えを希望される方は、残存有効期間にかかわらず、都道府県旅券窓口や在外公館で申請を受付けています。(在ハガッニャ総領事館では、MRPは日本国内で作成しているため、受領まで3〜4週間を要します。)
(注)査証免除プログラム
日本人が観光・商用目的で米国に入国する際に適用される査証免除プログラムは、グアムにおいては、通常の「査証免除プログラム」(Visa Waiver Program、滞在期間90日間以内)のほかに、グアムに限って適用される「グアム査証免除プログラム」(Guam Visa Waiver Program、滞在期間15日間以内、グアムのみの滞在で米国の他の地域に渡航しないことが要件)があります。
「査証免除プログラム」での入国に当たっては、I−94W(緑色)の入国カードが必要とされ、また、「グアム査証免除プログラム」での入国に当たっては、I−94(白色)及びI−736(薄紙)の2つの入国カードが必要とされています。
(注)「機械読取式でない旅券」(非MRP)は、旅券の顔写真のある項に「THIS PASSPORT IS NOT MACHINE READABLE」と記載されています。
(4)通過(トランジット)
米国を経由して第三国に向かう渡航者についても、昨年10月26日以降、非MRP所持者は通過査証の取得を義務付けられていますが、グアム島においては6月26日以降においても「グアム査証免除プログラム」が適用され、無査証で通過することが認められます。
従いまして、例えば本邦からグアム島経由でパラオやミクロネシア連邦等に向かう邦人渡航者は、MRP及び非MRPのいずれの旅券であっても無査証で通過することが可能です。
4.US−VISITプログラム(指紋スキャン・顔写真撮影)の適用拡大
(1)適用対象の拡大
米国政府は、2004年1月5日より「US−VISIT(Visitor and Immigrant Status Indicator Technology)プログラム」と呼ばれる新たな出入国管理システムを導入し、査証(ビザ)を所持して米国に入国する渡航者に対し、指紋のスキャン(機械による自動読み取り)や顔写真の撮影など新たな出入国手続きを実施してきました。
今回の拡大により、従来の査証(ビザ)を使って入国される方に加え、2004年9月30日午前0時より、90日以内の短期滞在(観光・商用)目的で査証(ビザ)なしで入国される方々も新たにUS−VISITプログラムの対象となります。尚、13歳以下、80歳以上の渡航者は引き続き適用が免除されます。
但し,グアムにおいては、15日以内のグアムのみの短期滞在に限り、「グアム査証免除プログラム」が適用され、入国時の指紋スキャン・顔写真撮影ついては免除されるとのことです。
(2)入国時の手続き
入国審査カウンターにおいて、両手人差し指の指紋のスキャンと、デジタルカメラによる顔写真の撮影が行われ、これらの情報は、データベースと照合され、入国許可の判断に利用されるとのことです。なお、その後も米国に入国するつど、同様の手続きが必要となります。
(3)出国時の手続き
セルフサービスの端末機を使用し、渡航文書(パスポートや米国ビザ)及び両手人差し指のスキャンを行うことで、本人確認、出国(オーバーステイの有無等)を確認することが米国内の一部の空港・港湾で開始されていますが、グアム空港における運用時期は未定です。
(4)混乱を防ぐために
米政府の説明によると、入国の際に上記対象空港・海港にて出国手続きをわかりやすく説明した出国カードを配布するとともに、対象空港・海港ではアナウンス等によって出国者に手続きの周知を行い、また質問に答えられる人員を常備するようにするとしています。
(参考)
★US-VISITプログラムとは、
生体認証バイオメトリクス式、米出入国審査・監視システムです。US VISIT生体認証プログラムは、米国入国者のデジタル写真や指紋を登録し、外国人の出入国、滞在期間や違法行為等を自動的にコンピューターで管理する包括的な監視・管理システムです。指紋照合や身分証明技術を導入するUS VISIT生体認証システムで収集した外国人の情報は、ICE移民局やその他の政府機関のデータベースと照合され、検索結果によっては、米国訪問者は入国を拒否されたり、米国在住の外国人は米国外退去審問の対象になります。
5.グアム国際空港乗り継ぎ(トランジット)時の注意点
2001年9月11日に発生した米国本土同時多発テロ後、米国連邦政府より在米空港当局等に対して警戒警備の強化に関する通達が出されました。これを受けて、グアム国際空港においても継続的な強化措置が現在も講じられているほか、米国領グアム島周辺の島嶼諸国(サイパン、パラオ、ミクロネシア等)への乗り継ぎの場合でも、米国移民帰化局による米国への入国手続きを受けた後に乗り継ぎのための航空機への搭乗が可能となります。(なお、空港内のみでの乗り継ぎの場合、入国カードの作成提出は不要。)
従って、米国への入国に関して問題が生じる恐れのある方は、入国拒否又は身柄の拘束等を受けることとなり、目的地への乗り継ぎが出来なくなることがありますので、グアム国際空港において乗り継ぎを予定される邦人の皆様は、以上の点を十分注意して下さい。
6.参考サイトへのリンク